イケメンエリート軍団の籠の中




お昼が過ぎ、舞衣はジャスティンの英語の授業に真剣に取り組んだ。
そんな舞衣をジャスティンは、もの柔らかな思いやりに満ちた視線で包み込んでいる。


「ねえ、舞衣?」


ジャスティンの声に舞衣はノートに向けていた顔を上げた。


「トオルの事、悪く思わないでやってね」



「あ、はい、全然、大丈夫です……」



「前に、トオルは急に豹変するから要注意って言ったろ?
それは、そういう事なんだ。
あいつは自分にも厳しいし、他人にも厳しい。

見た目があんな感じで柔らかくて温厚に見えるから、そのギャップで最初はみんな戸惑うんだ。
ま、昨日の舞衣に対しては、まだ全然優しいほうだよ。
一番酷かったのは凪の時だな」


ジャスティンは、舞衣の凪への反応を見て楽しんだ。


「え? あの凪さんが怒られたんですか?」



「トオルは凪のあの髪形や、マイペース過ぎる行動にどうしても慣れなかった。
しばらくは我慢してたけど、ある日、爆発したんだ」


舞衣は身を乗りだして、その後のジャスティンの話を待った。


「それは、あんたの価値観だろ?
それを他人に強要しようとすること自体、おかしくない?」


ジャスティンは舞衣を見て笑った。


「そ、それだけですか?」



「うん、それだけ…」



「EOC一お金を稼いでいる人間に言葉や常識は必要ないんだ。
それが全てなんだよ。
っていうか、あんな変な奴だからこそ、成し遂げられたのかもしれないな」