舞衣はまた胸が激しくドキュンというのが分かった。
これって、愛の告白?
でも、凪は涼し気な顔をしている。
もし、好きな人に愛の告白をしたのなら、少しは動揺するものでは?
舞衣はそんな事を思いながら、でも、さっき凪に言われた言葉を何度も自分の中で繰り返した。
全神経がお前を求めてる……
一時も離れたくない……
お前はもう俺のものだ……
舞衣はその言葉だけで、もう心の底から凪にメロメロになっていた。
「ほら」
凪は舞衣にグラスを渡すと、自分のグラスを舞衣のグラスにカチンと当てる。
凪は部屋着に着替えていた。
でも、舞衣の言うような部屋着ではなく、グレーの柔らかい素材のスウェットパンツに白い厚手のシャツは、それだけで洗練されて見える。
舞衣の隣に自然に腰かけた凪は、ワイングラスを揺らしながら、反対の腕で舞衣をまた引き寄せた。
「で、トオルに何を言われた?」
「へ?」
舞衣はあまりの幸せな時間に酔いしれて、会社での落ち込んだ出来事など忘れていた。
「トオルさん?
あ、そうか、あ、でも、それは、私も勉強不足で…」
凪は舞衣の肩を抱き寄せ、正面の窓の先の夜景を見ている。
夜の窓ガラスに映る凪の顔は、鋭利な刃を持つ捕食者のようなそんな険しい顔をしていた。



