「ハルはどうする?」
「俺、は……」
三枝くんに尋ねられた瞬間から、どんどん青ざめていく逢坂くんの表情。
もしかして、と思った私の考えが間違っていないことは、次の三枝くんの言葉によって判明する。
「なんだよ、怖いの苦手なのか?」
「………」
逢坂くんは決して口を割らないが、青ざめていく顔の中に、どこか赤らみが見え、気付いた三枝くんは、それをからかい始めた。
「図星かよ! 男のくせに情けねぇな」
「う、うるせぇ! ちびのお前に言われたくねぇわ!」
「それは今関係ねーだろっ!」
喧嘩するほど仲が良い、と言えばいいのか。
2人は会うたびに口論しているような気がする。
冗談とか本音とか。
全部全部、素直な思いを伝えられる相手がいるって、羨ましいな。
──友だちなんていらない。
ずっと思っていた私の感情が、またひとつ揺らいでいくような気がした。



