3センチHERO


「じゃあもう一回乗る?」


三枝くんがさっきのジェットコースターを指差して尋ねた。


「私はいいけど」


「ハルは?」


「えー…まじかよ、2人とも」


うんざりしたような表情でため息を吐く逢坂くん。


もしかしたら、ジェットコースター苦手だったのかな。


私のときも無理しないでって励ましてくれたし、逢坂くんの体に何かあったらって思うと、やっぱり不安になる。


「…じゃあ私も残るよ。逢坂くんに無理させたら悪いし、心配だから」


「えっ、いいのか?」


「うん。逢坂くんだって、さっき同じように言ってくれたでしょ」


同じように隣に座ると、柔らかく微笑んだ。


「優しいな、鳴海は。誰かさんと違って」


逢坂くんは、嫌味たっぷりで『誰かさん』に向かって放つ。