「ハル、てめえ…!!」
また顔を赤く染め、逢坂くんの胸ポケットにいた三枝くんは、私たちが重ねる手の甲に乗ってくる。
「わっ、ちょっ…くすぐったいって、紘!」
逢坂くんは手を離そうとするが、そうしてしまうと、三枝くんがどこかへ飛んでいってしまう可能性があるため、仕方なくとどまる。
だけど、だんだんと強くなる逢坂くんの手の力に、不思議と安心感を抱く私がいた。
「もういいよ! ハルが鳴海の手を離さないっていうなら、俺は鳴海のポケットに行くから!」
ハルはせいぜい一人で頑張るんだな、と捨て台詞を残し、私のもとへ来てくれる三枝くん。
一方の逢坂くんも、紘がいなくなってせいせいした、とぶつぶつ文句を言いながら張り合っていた。
なんだか可哀想に思うけれど、私の恐怖を紛らわすために努力してくれているという事実が本当に嬉しくて、また笑顔ばかりがこぼれてしまうのだった。



