3センチHERO


ジェットコースターの入り口へ行けば、また大勢の人たち。


『楽しみ』だとか、『わくわくする』とか。


私には考えられない言葉ばかりが聞こえてくる。


それは隣を見ても同じだった。


冷静な逢坂くんとは裏腹に、三枝くんはさっきからそわそわと落ち着かない様子。


よほど楽しみにしていたのだろう。


見たことがないくらいに、彼の目がきらきらと輝いている。


そもそも新月の祝い品として、ここの遊園地のチケットを選んだのは三枝くんだった。


もしかして何か特別な思い出でもあるのだろうか。


なんてぼんやりと考えていると、あっという間に私たちの番が来た。


小学生以来のジェットコースターという感覚に、私は計り知れないほどの緊張を感じていた。