3センチHERO


「まったく、紘は昔からこういうのが好きだもんな。鳴海はジェットコースター平気?」


「えっ…!? あっ、うん。全然平気だよ」


とっさに嘘が出てしまった。


だけど、せっかく楽しい場の雰囲気を台無しにしてしまったら、と思うと、こうするしか他ない。


「本当に大丈夫か? 顔色悪いけど…」


不信がった逢坂くんが、私の顔を覗き込む。


そのせいで、表情が急激に高揚していくのが分かる。


「本当に、平気、だから…! 気にしないで…くだ、さい」


「そうか? でも無理はしなくてもいいんだからな? 1人でここに残ることを不安がっているんだとしたら、俺も残るし。ジェットコースターなんて、紘が1人で行ってくればいいんだからさ」


「なんでだよ! 2人が行かないなら、俺も行かないって! 余裕で飛ばされるし、それに絶対踏み潰されて帰って来れねぇっつーの!」