「帰ってきてたなら、家に入りなさいよ。寒いでしょ?」 「あっ…う、うん」 「それとも、何か家に入りたくない理由でもあるのかしら」 またもや、お母さんは鋭い台詞を吐く。 いつもは天然のくせに、どうしてそんなところばかり鋭いのだろう。 不思議に思いながらも、どうにか笑顔を作って、家に入る。 「なんでもないよ。ただいま、お母さん」 「うん、おかえりなさい」 私が扉に手をかけると、お母さんは手を振って買い物へと出かけていった。