3センチHERO


そして学校が終わり、家までの帰り道で、私は三枝くんになんと謝ろうか、ぶつぶつ声に出しながら考えていた。


普通にごめんなさい?


あ、でもそれだと何に対しての謝罪か分からないか。


じゃあ、いろいろ言ってしまって申し訳ありませんでした、とか。


それは固いよね…。


うーん、と唸りながら、ああでもないこうでもないと頭を回すうちに、ふと前を見ればもう家に着いてしまっていた。


ど、どうしよう。


まだ考えもまとまっていない私は、家の扉を開けるかどうかためらっていた。


「あら。何してんの、結子。そんなところで」


「へっ…」


私の名前が聞こえた気がして、顔をあげるとそこにいたのは買い物袋を提げたお母さん。