3センチHERO


と、同意の目線を逢坂くんに向けると、目が合った彼は、眩しい笑顔を見せて、私の頭に手を置き、くしゃくしゃっと撫でた。


「まあ、そんなに考え込むなって。鳴海ならきっと大丈夫だから! ほら、笑って笑って」


今度はほおを掴み、左右に引っ張る。


そのせいで、不恰好な笑みが、私の顔に宿った。


「い、痛い…」


「あ、嘘…ごめん!」


ついいつものノリで…、と手を放し、恥ずかしそうに頭をかいた。


その様子が可愛くて、面白くて。


「ふふ…」


気付けば本当の笑顔になっていた。


「ありがとう、逢坂くん」


「えっ、あ、おう!」


よく分からない、とでも言いそう感じだけど、今はまあそれで十分かな。


私も私で、頑張らないと。


よし、と腕を引き締め、一歩、また一歩と、学校へ歩き出すのだった。