「じゃあ、都合が大丈夫なら、昨日のように夜メールして。連絡なかったら諦めるから」
「…う、うん」
胸がいっぱいになって、体がこわばる。
お出かけ…。
2人で…。
それからチャイムが鳴るまでの間、私は何を話したかなんて、全くと言っていいほど、覚えていないのだった。
「た、ただいま…」
家に着いて、扉を開けながら言った。
「あら、おかえり。今日は珍しく1人なのね」
キッチンの方から、菜箸を持ったままのお母さんが出てきた。
たった今閉めた扉の向こう側を、不思議そうに眺めている。
きっと、今日は話し声が聞こえなかったからそう思ったのだろう。
「ちょっといろいろあってね」
あまり誤解を招かないように、手短に説明した。



