3センチHERO


「昨日はありがとな」


「えっ?」


一瞬何のことか分からなくなり、首を傾げる。


「宿題だよ、数学のプリント」


そう言われて、私はやっと思い出した。


「…ああ、あれか。大したことないよ」


「あるってば! あのメールがあったから、俺は無事にプリントを見つけることが出来て、見事間に合ったんだからさ」


まじほっとしたよ、なんて笑う逢坂くんに、私もつられて笑顔になる。


「そうだったんだ、助かったようで何より」


「おう、さんきゅ」


…だけど、冷静になって考えてみれば、その役は私じゃなくても良かったんだよね。


同じクラスの男子とかだって、きっと宿題のこと知っている人もいるはずだし、逢坂くんは私のように人見知りとかじゃないから、より気軽に聞けるだろう。


なら、どうして私?


うーん、と唸りながら、ゆっくりとサラダを口に運んだ。


だけど、また逢坂くんのことで悩まされていると気付き、瞬間、考えるのをやめた。


さっきのように心配させたら悪い。


なんでもない、なんでもない。