「ちなみに、紘くんとのことなら入学する前から分かってたよ。うちのお母さんと紘くんのお母さんが仲良くてさ、15歳の誕生日の時に区切りがいいからって、教えてくれたの。私に兄弟がいるってこと」
知っていたならどうして…。
どうして三枝くんにそれを伝えなかったのだろう。
疑問ばかりが頭に浮かび、他に何も考えることが出来なくなっていた。
「で、その人がこの高校に入学するって聞いたから、私も追いかけるように志望校を変えたの。受ける予定だった学校と学力が同じくらいだったのが幸いかな」
明るく話してくれるのはありがたいが、私たちが聞きたいのはそんなことじゃなくて。
もっとこう…大事なことがあるはずなのに。
それが何か、明確には分からないから、直球で聞くことが出来ない。



