不思議に思いながらも、母親は三枝くんにきちんと説明する。
どうして急にこんなことを聞いたのか。
おそらく本人以外の全員が、そう思ったことだろう。
「ならいいや。今から起こることを喧嘩だと捉えられたら、面倒だし」
三枝くんはゆっくりと机に腰を下ろし、目を閉じて深いため息を吐く。
緊張をしているのかもしれない。
小さい三枝くんと出会ってからずっと、彼は家族のことについて考えていたから。
数秒経って目を開くと、先ほどとは打って変わった三枝くんがいた。
ようやく覚悟を決めた様子で、静寂の中、彼は口を開く。
「俺はさっきまで遊園地にいたんだ。母さんなら覚えているかな。小学生の時に俺を連れて行ってくれた、あそこの遊園地だよ」
「…急に何を言い出すかと思えば」
自分に言いたいことがあるのだと思っていた父親は、小さく笑みをこぼす。
だが、それに同意する者などいるはずもなく、彼は恥ずかしいようにたちまち静かになった。



