「噂で聞いたんだけどさ、お母さんのところに連絡があったらしいよ。いろいろあって帰れなくなったとか言ってたんだって」
連絡…きっとあの時の電話のことだ、間違いない。
でもどうしてここまで話が漏れているのか。
あの電話を聞いていたのは、三枝くんとそのお母さんのほかに私しかいないはずなのに。
だけど逢坂くんなら察しがつくか。
三枝くんが小さくなったことを話した時から、家族には連絡しておけって言っていたもんね。
「あいつにはあいつなりの事情があるんだよ」
目を伏せて、中身のないカップに入ったスプーンをくるくると回す。
三枝くんが小さくなってしまっているという事は話さないんだ…。



