3センチHERO


取り残された気分の私は、ふと三枝くんに目をやった。


三枝くんも三枝くんで、なんだか暗い顔をしている。


はあ、とこぼしたため息も、こっちに聞こえてきてしまいそうなくらい。


どうしたんだろう、らしくない。


三枝くんが時々寂しそうな目をするから、私はそのたびに心配になる。


彼には裏の顔があるんじゃないかって、本当の心はまだ見せてくれていないんじゃないかって。


いつか、皆が心から笑える日が来るのかな。


なんて願っていると、隣から三枝くんの名前が聞こえた気がした。


彼のことを考えていたからという幻聴かもしれないけれど、とりあえず耳を傾ける。


「そういえば、紘くんって無事に見つかったの?」


「なんで?」