「香澄は、どうしてここに?」
「言ってなかったっけ、あたしここでバイトしてるんだ。今はバイト終わりに暇してたとこ」
やっぱりそうだったのか、と納得する私に鈴村さんは目を向ける。
「同じクラスの鳴海さんだよね? どうして小春くんと一緒にいるの? もしかして付き合ってるとか?」
そんなわけないよ。
そう否定しようとしたら、私より先に逢坂くんが口を開いた。
「まあそんな感じ」
まるで当たり前だとでも言うように、淡々と口にする。
どうして、そんな嘘を…?
「へえ、意外。小春くんって、こういう子が好きだったんだ」
2人はそのまま話を進めてしまうけれど、私はさっきの言葉が気になってもう何も言えなくなっていた。
だからといって、このくだりがなくても、楽しそうな2人の輪には入れていなかったと思うけど。



