3センチHERO


「香澄は、どうしてここに?」


「言ってなかったっけ、あたしここでバイトしてるんだ。今はバイト終わりに暇してたとこ」


やっぱりそうだったのか、と納得する私に鈴村さんは目を向ける。


「同じクラスの鳴海さんだよね? どうして小春くんと一緒にいるの? もしかして付き合ってるとか?」


そんなわけないよ。


そう否定しようとしたら、私より先に逢坂くんが口を開いた。


「まあそんな感じ」


まるで当たり前だとでも言うように、淡々と口にする。


どうして、そんな嘘を…?


「へえ、意外。小春くんって、こういう子が好きだったんだ」


2人はそのまま話を進めてしまうけれど、私はさっきの言葉が気になってもう何も言えなくなっていた。


だからといって、このくだりがなくても、楽しそうな2人の輪には入れていなかったと思うけど。