その日の帰りのホームルームが終わった。


未だに深刻そうな表情をしている先生を見ていると、なんだか切なくなる。


手元に三枝くんらしきものがあることを、言ったほうがいいのだろうか。


『ささいな情報でも得ることができたら先生に伝えてほしい』


ふと、この前そんなことを呼びかけていたようなことを、思い出す。


だったら、黙っておくわけにもいかないか。


机の上の小さな三枝くんを、包み込むように手の中に入れる。


しかし、彼は私の手から逃げるように机中を走りまわる。


今までに見たことがないくらい、恐怖に怯えていた。