「まあいいや、とりあえず昼食でも食べる? お腹すいただろ?」
皆に呼びかけたのは、お腹をさする三枝くん。
一番空腹なのは、もしかしたら三枝くんなのかもしれない。
たとえ身長が小さくなっても、すくものはすくんだね。
「そうだな、もうお昼の時間だし。鳴海は? 何か食べたいものとかある?」
逢坂くんが腕時計を確認しながら言った。
「私はなんでもいいよ」
「そう、じゃあ一番近いところにしよう」
「ならあそこは?」
三枝くんは、右手前方に見える喫茶店を指す。
黒色をベースとした、レトロな店。
錆びかけた『OPEN』の文字が、私たちを導く。
確かに、遊園地で喫茶店って、珍しくていいかも。
三枝くんの提案に反対する者は誰もおらず、即決した。



