「すごいな、鳴海は。それに比べて俺は…なんか、格好悪い姿見せちゃってごめん」
「ううん、そんなことないよ。むしろ苦手なことを私のために一緒に付き合ってくれてありがとう」
笑いかけると、彼もまた、つられて笑った。
「……おい、俺を忘れるなって!」
何やら小さい音がし、逢坂くんの胸ポケットからもぞもぞと何かが出てくる。
いや、『何か』じゃなかった。
「忘れてなんかねーよ、紘」
ひょっこり顔を出した三枝くんの体を、優しく救いあげる逢坂くん。
落ちないように支えてあげるのが、私たちの使命。
なぜなら三枝くんは、猫よりもハムスターよりも小さいのだから。
「…ったく、ハルってば俺をライトの上に乗せるんだから。びっくりしたっての!」
「ははっ、悪い悪い」
悪いと言いながらも、本当にそんなことを思っていないような様子。



