無事に生還、という言葉がお化け屋敷にとってふさわしいかどうか、そんなことばかりが気になって、ゴールできたことの嬉しさなどもう忘れてしまった。


だが、終始腰が抜けていた逢坂くんにとってはその一言がかけがえのないものだったようで、ありがとうございます、と彼に何度もお辞儀をしている。


しかも90度。


あんなに丁寧に述べている感謝は、一体何に対するものだろう。


三枝くんが落ちてしまわないかと、ただ心配の目を向けていた。


するともう挨拶はすんだのか、周りを見渡し、私を見つけた逢坂くんはこっちへ駆け寄ってきた。


「怖かったね、大丈夫だった?」


「…私はこういうの平気だから」


あっさりと答える私に、彼は目を見開いて驚く。