だから私も何か力になれたらと、さっきの逢坂くんと同じように手をぎゅっと握ろうと、隣の彼へ手を伸ばす。


………と思ったけれど、また私のだめなところが出てきてしまう。


急に手なんか握って、迷惑じゃないかな。


さっき自分がやったことが優しさだと勘違いされてる、って嫌な思いになるかな。


三枝くんがいるから遊園地に来ただけであって私には全くの興味もないのにそんなこといきなりしないで、って嫌われてしまうかな。


少しの間考えただけでも、マイナスな感情がたくさん溢れ出てくる。


そうだよね、私と逢坂くん…いや、私と2人は友だちでもなんでもないのに。


勝手に1人で舞い上がって馬鹿みたい。


私は2人に気付かれないように、小さくため息をついた。


ふと空を見上げれば、当たり前のように輝く太陽が目に映る。


もちろん月は出ていなかった。


まだ昼間だからあるはずないか、と思うと同時に、今日が新月だということを思い出す。


『だから、今日は新月なんだって!』


今朝、あんなに嬉しそうに三枝くんは教えてくれた。


あの笑顔は、遊園地だけのため?


それともあと半分で私と離れられるから?


幸せには必ず終わりが来てしまうということに、切ない思いを抱かずにはいられなかった。