「…で、どうすんだよ。お化け屋敷行くのか?」
三枝くんがもう一度同じように尋ねる。
きっとこれが最終確認。
私たちは逢坂くんの口が開くのを、今か今かとただ待っていた。
「……行く」
決心をしたようなまっすぐな表情で、逢坂くんはゆっくりと立ち上がる。
いかにも格好の良いたたずまいだが、足元がわずかに震えているのが見え、なんだか可愛く思えた。
「最初からそう言えばいいんだよ。鳴海だって、ジェットコースターが苦手ってことを隠してまで決断してくれたんだから」
まあ俺はどっちも好きだけど、と逢坂くんの胸ポケットの中であれやこれやと言葉を並べる。
一方の逢坂くんはというと、これから始まるであろう恐怖で胸がいっぱいになり、何も言い返さない。
いや、言い返せないのかもしれない。
私もジェットコースターに乗る前は、同じような感じだったから。