空は青い。


私の気持ちと正反対なくらいにずっと。


ぼんやりと窓の外を眺めながら、鳴海 結子(ナルミ ユイコ)はまたひとつため息を吐いた。


賑やかな空間、楽しそうな笑い声。


何気ない一つ一つの日常に、今日も嫌気がさす。


どうせ私には、皆のような当たり前の日々など、来るはずもない。


分かっているのに悲しいのは、心のどこかで期待しているからなのかもしれない。


そして1人だけの静かな空間で、四角い小さなお弁当箱に入ったいつもの卵焼きを口に入れる。


その美味しさなど、遠の昔に忘れてしまった。


美味しそう、と声をかけてくれる人がいなければ、そうでしょ、と笑いかける相手もいない。


友だちがいないとは、こういう些細なことから始まるのかもしれない。


だが、それに慣れてしまった私は、もっとどうしようもないのだろう。