コンコンー

「失礼します、相野様が来られました。
お通しして宜しいでしょうか⁇」

オーナーは私の目を見て、確認される。
私が頷くと、オーナーは返事をなさった。

その返事を聞き、開いた扉を私が人が通れるくらいにまで開け 相野様が通られるまで 閉まらないよう押さえた。

相野様とお嬢様が通られた後、音を立てないよう 静かに扉を閉めた。

その後、応接間の裏へ行き お出しする紅茶をティーカップに注ぎ 3セットのティーカップとシュガーポットを持って 応接間の方へと入った。

それぞれ、相野様・お嬢様・オーナーの前にティーカップを置き、中央あたりにシュガーポットを置いた。

私は一礼してから 1度裏へとお盆を置きに帰った。

そのあとは、オーナーの斜め後ろあたりに立った。

私の方を見た後、お嬢様の顔は引きつった。

何か、私の身なりに不具合でもあるのだろうか⁇

しっかりと整えてきたつもりだったんだが……。

「この施設の大方についての説明は以上となります。

此方に居るのが、今後 1年間 瑞姫お嬢様の執事を務めます、 "アクア" です。

アクア、挨拶をしなさい。」

オーナーに話を振られて、応える。

「この度、お嬢様の執事を務めさせていただくことになりました アクアです。

1年間、宜しくお願い致します。」

私は深々とお辞儀をした。
多分、身体は90度くらいにまで 曲がっていると思う。

頭を上げると お嬢様は紅茶を手に取られた。

一口飲むと、お嬢様はカップを置き 私の方を見た。

「これ、何⁇」

「申し訳ありません、お口に合いませんでしたか⁇」

甘党、って資料に書いてあったから 独特な甘みを持っているジョルジュにしてみたんだが……もしかして、嫌いだった⁇

「違う、十分に美味しいわ。

種類を聞いているの。

この甘さからいうと……これはジョルジュかしら。」

……そういうことか。

「えぇ、お嬢様の仰る通り ジョルジュでございます。」