「あ、1つ聞きたかったことがある。」

「何⁇」

「髪、切らないのか⁇」

"あぁ、" と声を漏らした。

確かに 髪は長い。背中の真ん中あたりまで伸びていて 普段から1つに纏めている。

「色も明るいし。」

極め付けには金に染めている。

「執事役するにはマズイ⁇」

「まぁ、今回の御嬢様は嫌がると思うから "切って色変えろ" って言われても 仕方ないとは思う。」

「その時はその時⁇
言われたら、切るし 色も変える。」

「綺麗に伸ばせているから 俺は別に構わないけど、速水は嫌がってたぞ。」

"速水" は執事長、執事役のトップの人で執事役の取りまとめ役。

「そんな気はしてた。」

あの人、あんまりチャラチャラした感じとか好きじゃなさそうだし。

「 "SSランクの執事がこうでは 示しがつきません" って小言垂れてた。」

この施設には 執事役がたくさんいて、一人一人ランク分けされている。

上から順に
SS
S
A
B
C
D
って感じ。

Dは執事役を始めたばかりの子。
仕事について机で学ぶのが主。

CはSS・Sの仕事現場について回ったりして 現場で学ぶのが主。

Bは雑用を任されている。ようやく1人で仕事現場に立てる。

AはBと同様に雑用を任されている。専属についているSS・Sの仕事現場で学んだり、Aになって初めてお嬢様と接することになる。

Sはお嬢様のお世話係。専属についている者もいる。そうでない者は 専属執事の穴を埋めるために臨時で執事役についたり お嬢様の生活が円滑であるようにサポートしたり、とお嬢様と接することが主な仕事。

SSはSと同様の仕事。Sの中でも特に秀でている者がSS。現在 SSは私 アクアとイグニス、テッラの3人がいる。

「未だに なんで俺がSSなのか分からないくらいだから、そう言われてもな……。」

「アクアとしての仕事は完璧にこなすだろう⁇」

「まぁ、それは仕事だからね。」

「他の奴にとってはそれが難しいんだ。」