先生の瞳に。脳裏に。一体いま、どんな景色が、どんな光景が浮かんでいるのだろう。

17年間ずっと一緒に生きてきたんだ。

大切な親友と、誰より好きな女の子と。

……そしてそれを、先生は同時に失ったんだ。




「なんとなく、ナオがジンを選ぶんだろうってことはわかってた。ていうかまあ、俺以外の男とくっつくのなら、ジンしかいないって思ってたし」

「……」

「残りの高校生活は地獄みたいなモンだったな。あそこにいる限り、俺はどうしたってあの2人から離れるわけにはいかなくて。……もちろん、2人のことが嫌いになったとか、そんなのは全くないよ。むしろ逆。2人のことがめちゃくちゃ……めちゃくちゃ好きだったから、俺はあの街から出た」




先生がハンドルを切って。

このままだと早く着きすぎちゃうよな、なんて言ってコンビニの駐車場に車を停めた。

……私が、泣いているのを知っていて。

先生は優しい。どこまでも優しくて、どこまでも純粋で、……どうしてこんなにきれいなひとが、こんなにも傷つかなくちゃならなかったんだろう。