______この感情は一体なんだろう



翔くん先生と夜を過ごすようになってから早3週間。夜を過ごすって言っても、最初の日みたいに一緒にご飯を食べたりするだけなんだけど。

平日は6時半から8時半、休日は朝の9時から夕方5時まで。まだ夏休みでもないというのに、うちの塾は毎日講義がある。いや、夏休みに入る前に基礎を叩き込めってことなんだと思うけど。

これと言って夢もやりたいこともない私は、それなりに名前のある大学に行ければいいかなあと思ってる。

だから、真剣に勉強してる周りを見るとちょっとだけ罪悪感が湧いてしまう。


こう見えても、私の成績は常にトップクラスだ。学校の定期テストは常に10位以内をキープしてる。

別にキープする必要なんてないけど、お母さんは成績表を見せると喜んでくれるし、それなら勉強するのも全然苦じゃない。


それを話すと、翔くん先生は優しい顔で笑ってくれた。
『お母さんのこと、大事にしてるんだな』って、私の頭に手をのせて。


そりゃあ、ひとり娘ですから。私が支えてあげないと、あの人は多分生きられない。逆に言えば、私だってお母さんがいなければ今生きていない。

そういうの全部ひっくるめて、いつもちゃんと私の話を聞いてくれる翔くん先生に私は大分、すくわれていると思う。