- 3話 -




結局押しに負けた俺は連絡先を渡した



渡してしまうと満足したようでにっこり微笑みながらすんなり帰ってくれた




……これって、犯罪とかにはならねぇよな?


連絡先を渡したせいで捕まったなんて話は聞いたことねぇけど。




風呂上がりの濡れた髪をバサバサと乱暴に拭き携帯片手に座り込む




つけたテレビの内容も頭に入ってこない。









ピロンッ




「……きた。」




【鳳崎 茜:連絡先ありがとうございます!
昨夜助けていただいた鳳崎 茜です。
登録よろしくお願いします????】





丁寧な文からは昼間の強引さなんてほとんど読み取れない




さて、どう返事を返すか。


あまり気を持たせるのも可哀想だしな






【よろしくお願いします。橋爪 祐征です】




よし、こんなもんだろ





ピロンッ


今送ったところだというのにまたすぐにメッセージが届いた


どんだけ暇なんだか。






【鳳崎 茜:祐征さんって呼ばせてもらってもいい ですか?】


【はい。大丈夫です。】


【鳳崎 茜:祐征さんはおいくつですか?】


【今年で26になりました】


【鳳崎 茜:じゃあ、私の5つ上ですね!】





すぐに終わらしてしまおうと思っていたのに、いがいと話題が尽きないものでその夜は長々と連絡を取り合った



話してみると普段はあれほど強引ではなく、むしろおしとやかな女性であることがわかった




本当に俺に一目惚れしたらしくどうしても繋がりを持ちたかったらしい




彼女はよく俺のいる交番を訪ねては差し入れだといって甘いものを置いくようになり、その度についつい長話をして上司にどやされるのが日課になっていった