人間界─────。


大きな鉄の塊が結構な速度で走り、これまた大きな鉄の塊が列になって進み、とてつもなく大きな鉄の塊が空を飛ぶこの時代。
衛生管理もちゃんとしてあって、時間という目の見えないものに追われ、ここに住む人類は生きている。何百年前かにはあったらしい身分制度や戦争という出来事もなくなり、“平和”が保たれてきているこの世界。


そんな世界に住む1人の何も変哲もない少年は、日々の生活で心が蔑んでいった──────




「はぁ…………」


凍えるような寒さの部屋の中、暖房器具という便利そうな物もなく毛布1枚にくるまっている1人の少年。近くに立ててある蝋燭はつい二日前くらいに火を灯したが、最近は強風で炎が煽られ今にも消えてしまいそうな勢いである。
毛布にくるまる彼は名も無き、身内も無き、友も無き孤独な少年。まだ16かそのへんの歳であろう。親が残していったこの小さな家で、色んなことに耐えながら生き続けているのである。


「ほんとに……俺は死ぬんじゃないかな……」


苦笑混じりの戯言を残し、ボロボロの床に横たわる。その弾みに蝋燭の火は消えた。


(………朝起きたら、向こうに逝っちまってるなんて)

































無いはずだった。