「西條、どうして噛み付いたりしたんだ」
私は答えることなく、プイッと顔をそらす。
だって答えるにはゆんちゃんのことを話さなきゃいけない。
ゆんちゃんが襲われたからって。
きっとこれを言ってしまえば先生も納得すると思う。
でも、これを言ってしまうと今度はゆんちゃんが事情を聞かれることになる。
辛いことなんて思い出して欲しくない。
それに、噂はあっという間に広まるもの。
どこかで誰かに聞かれたりしたら、きっとゆんちゃんが周りから有る事無い事言われてしまう。
…そんなのイヤ。
だから答えなくていい。
それを分かってて先生に報告した隣のゴミ男の思い通りになるのはホントに嫌だけどっ!!



