ペットな彼女の甘え方




「ほら犬。これ持ってて」


「わん!…はっ、つい返事しちゃったよ!!」



ゆんちゃんは「バカだ」なんて言うと、私に上着を渡して行ってしまった。



よし、私もゆんちゃんの応援の場所取りしないとね!



「実瑠来ちゃん、こっちだよー」



ゆんちゃんの上着を手にキョロキョロと応援する場所を探していると、100m走のレーンのすぐ側で伊織くんが手を振って私を呼んでいた。



「わっ、ここ見やすいね!」


「うん。頑張って場所取りしたんだよ」



「俺、頑張った!」なんて言って笑う伊織くん。


そんなにゆんちゃんの事応援したかったのかぁ。


伊織くんに負けないように応援しなきゃ!



「みぃ」



ふと後ろから大好きな声がして、振り向くとジャージ姿のりゅーがいた。


でもなんだかいつもと雰囲気が違う。


なんだろう。

何が違うんだろう?


んー……

ん?

……あ!髪の毛だ!



「今日のりゅーの髪の毛カッコいい!」



いつも無造作にセットされている髪の毛が、今日は前髪から全体的に後ろに流れるようにセットされている。



「あー、動くと邪魔になるからな」



カッコいい!

カッコいい!



思わずぎゅーっと抱きつくと、りゅーが自然と背中に手を回して抱きしめてくれる。



それが嬉しくて。


すごく安心して。



「おーい、2人とも。もうすぐ柚音が走るんだけど。そろそろこっちの世界に戻ってきてもらっていいー?」




すっかり忘れちゃってたよ。


ごめんね、ゆんちゃん。

テヘ。