それからりゅーは自分の教室に戻っていき、私は大人しく席に着いた。
「もー、実瑠来ってばどこ行ってたの?」
「ごめんね、ゆんちゃん。ガトーショコラがすっごく美味しそうだったから」
授業はどうやら再来週に行われるクラスマッチの種目決めらしかった。
黒板には色んな競技種目が書かれていて、みんな何に出ようかと盛り上がっている。
「ゆんちゃんは何に出るの?」
「んー…面倒だから何も出たくないんだけど」
えー!!
ゆんちゃん運動神経いいのに勿体ない!!
「ふたつは必ず出なきゃいけないとかホント面倒……」
そんなゆんちゃんは種目を決める事自体も面倒なようで、席を立つと黒板に向かい、さっさと自分の名前を書いて戻ってきてしまった。
「何に出るの?」
「100メートルとハードル」
短距離かぁ。
「10秒くらい走ればすぐ終わるでしょ」
あれ。
そんな理由だったのね。