そして、やっと伊織に追いついた。
「実瑠来ちゃんも、よろしくね!」
「あっ!手出しちゃダメ!」
伊織が友達の背に隠れている実瑠来と言う女の子に手を差し伸べた瞬間、その友達が慌てたように制した。
「え…」
「うーっ!!」
「うわっ!あぶねっ!!」
その手に噛みつこうとした実瑠来ちゃん。
間一髪で避けた伊織は驚きすぎて目を丸くしてる。
つか、ホントに噛みつくんだな。
実瑠来ちゃんは背に隠れたまま伊織を威嚇してる。
…野良犬みてぇだな。
すぐに噛み付いて来たり、威嚇してくるのを見てそう思ったのもある。
でも、過去に捨てられて人間に怯えている野良犬のように見えたんだ。
誰にも懐かない。
それって他人慣れしてないせいだろ?
自分とは真逆の人懐こい伊織が急に近づいてきたら怖がるのは当たり前だ。



