キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



「碧音君、いつからいたの?気づかなかったんだけど!」


「俺だって床に寝転がってるお前に気づけるわけないだろ」


確かに碧音君の位置からじゃ、ソファが邪魔になって私は見えなかったかも。


冷たいフローリングの床が気持ちよくて、ごろごろしてたのだ。


「ていうか、上脱いで……っは!まさか」


「今すぐ下らない妄想止めろ変態」


「じゃあ何で脱いでるの?!」


一応私だって乙女だから、堂々と直視出来ないよ。もう一度言う、乙女だ。


「汗かいて気持ち悪かったから。ここに替えのTシャツ置きっぱなしだったし」


そう言って、ソファに置いてあったTシャツに腕を通した時。


「……?」


そっと顔を覆っていた手を退かす。背中に。


碧音君の背中に、大きいものから小さいものまで傷痕や痣が所々あるのだ。大分時間が経った古傷のようだけれど。


「見んな変態」


「ごめん、つい」


「ついって何だよ」


碧音君が新しいTシャツに着替え終わったため、傷も全てすっぽり隠れてしまった。