星渚さんと皐月に『バカじゃねえのこいつ』みたいな目で見られてるけど気にしない。
藍さんは苦笑いしてるけど、勿論そんなの気にしない。
「あ、碧音君が格好良すぎて呼吸困難です!」
「そのまま呼吸とまれ」
「碧音君が人工呼吸してね」
「誰か散弾銃持ってきてこいつの頭ぶち抜くから」
人間じゃなくゴミを見るような冷たい視線も、今の私には通用しないのだ。
「これで叩いてみるか?」
「皐月は止めてください」
意地の悪い顔をする皐月から、ギターを素早い動きで奪いさっと元の場所に戻した。
「コントはその辺にして、練習再開するよー。はい、動いて」
パンパン、星渚さんが手を叩き終止符を打った。
しかしコントと言われてしまった。全力で碧音君への愛を伝えたつもりなのに。
合宿も残された時間は後僅か。その間に構成し直すのだから、急がなければいけない。
「頑張ってください」
声をかければ、藍さんがにっこり優しい微笑みで片手を上げた。
私がいつまでもいたら邪魔だからさっさと練習室を出て、何の課題から手をつけようかと考えながら、階段を上っていったのだった。


