今一状況が掴めず、私達の話を黙って聞いていた2人が私を一瞥。
「そ。俺も会うのは初めて。じゃあ皆自己紹介でもしとこうか。俺のことは菜流から聞かされてると思うけど一応ね。紀藤星渚、ドラム担当だよー、よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
星渚さんは片手をあげて微笑む。それだけで別世界から抜け出してきた王子様みたいに見えるんだからさすがだ。
ミルクティー色の髪も星渚さんだからこそ似合うんだろう。
ぱっちり二重に筋の通った鼻が菜流と似ている辺り、やはり兄妹だ。
「俺は高瀬皐月、ベース担当な。よろしく!」
「こちらこそ初めまして、よろしくお願いします」
このお兄さんはアッシュ系のお洒落な髪型に切れ長の目で、体格が体育会系の感じ。
あとライブ中に1番ファンサービスをしていたのが高瀬さんだ。盛り上げ方も上手だなって印象だった。
右回りで自己紹介していってくれてるから、順番的に次は、あのボーカルの人。
声、声が間近で聞ける!ガン見して待ち構えていると、ゆっくり口を開き、一言。
「刹那碧音」
「……え」
「それだけかよ!もっと愛想良い挨拶してみろって。『刹那、碧音です。紺碧の碧に音であおい。よろしくね?』くらい言ってやれって!」


