室内に充満している負のオーラを窓を開け放ち外へ出してしまいたいけど、生憎ここは地下室。


どうする私!


「……だから、BメロはAコードでいいんだって」


「サビとの繋がりが違和感あるっつってんだろ」


ぼそり、下を向きながら喋るのも億劫だという風に星渚さんが言えば、皐月も『何回言わせんだよ』と言わんばかりに呟く。


「碧音君!」


どうにかして、と目で訴えて碧音君の傍に避難する。


「離れろ変態女」


「今そんなこと言わないで!」


小声でひそひそ会話。碧音君も心なしかやつれたように見える。


「どうしてこうなったの?」


「曲の構成で意見が分かれてんの。俺と星渚VS皐月と藍」


多数決も出来ないってわけだ。


隣でくわ、と欠伸をかみ殺してる碧音君。この状況でも眠気は襲ってくるらしい。


「っあーくそ!!こうなりゃあれだ。てめぇが選べ」


ぐしゃぐしゃ髪を乱し、指を差した相手は。


「……私?!」


「お前が選べ。どんなジャンルの曲も山ほど聞いてんだろ?」


「聞いてますけど、それとこれとは話が別っていうか」