「まじ?頑張ったからなぁ」
電灯が、お兄さんのデレた顔を照らし出す。ステージ上ではキリッとしてたのに、菜流の前だとこんなにデレるのか。やはりシスコンという見立ては間違ってなかった。
「星渚、俺達置いてくんじゃねえよ」
「急がなくても、菜流ちゃんは逃げてかないだろ」
「……あっつ」
数十秒遅れて、3人の男も現れる。バンドのメンバー全員集合ってわけだ。
「はじめまして。君が明日歌ちゃん?」
「はい!橘明日歌です。菜流に誘ってもらって今日観に来ました」
星渚さんには菜流が私も一緒にいるとあらかじめ連絡したので、私の名前を知っているのだ。
「菜流から話は聞いてる。音楽に詳しいんだって?」
「はい、好きです」
インディーズ、Jポップ、洋楽。何でも気になれば聞く。
「へぇ。菜流の友達なん?」
「明日歌ちゃんと星渚も初対面?」


