「碧音君も頑張ってね。帰ってる間もずっと応援してるからね?」


「……あのさ」


「ん?」


いつもなら何かしら罵声を浴びせられるのに、さらっとスルーした碧音君。


「外、平気なの」


外?……外って……ああ、なるほど。遠回しに何を言いたいのか理解出来て、口元が緩む。


「うん、平気。もう暗いし」


そう、碧音君は私が夕方が苦手かことを心配してくれているんだ。幸い時刻は夕方過ぎで空は暗い。


それになんと、碧音君の家から私の家まで自転車で20分の距離なのだ。同じ駅を利用してるからそんなに離れてはないんだろうな、とは予想していたけど、ここまで近いとは驚き。


「碧音君が急に優しくなるなんて……。え、もしかして私のこと!!」


「頭ん中24時間お花畑だなお前」


綺麗な青みがかった灰色の目を細め、トン、と壁に寄りかかる姿が様になっていて胸がキュンとした。


「ポジティブ思考って、褒めてくれてるの?!」


「褒めてない。大丈夫ならさっさと帰れば」


「送ってくれないんですか!漫画やドラマでは結局送ってくれるのが定番でしょう」


初めて碧音君に会った日も、同じセリフを言ってたな自分。


いやだってさ、憧れるじゃん。帰り道にお互い意識しあっちゃってさ、恋の予感?なんて。


話をきり出したタイミングが一緒になって、目を合わせてはにかんだり!