「んじゃ、俺らも帰りますかねー。2人共、先に駐車場に行ってるから。ほら皐月、藍行くよ」
「しょうがねぇな!行くか」
「はいはい」
星渚さんは含み笑いで私と碧君を見て、外へ出ていく。残された私と碧音君。
「明日歌」
「ん?……!」
横を向くと、碧音君にもう一度抱きしめられた。碧音君の体温が伝わってくる。
「出会った頃は絶対お前を好きになるなんて思わなかった。でも、いつの間にか俺の世界には明日歌がいた。もし皐月と明日歌が、って考えたら嫌で」
「……そっか」
「恋愛感情なんだって気づくまでに時間かかったけど、もう離さない」
どうしようもなく嬉しくて、引っ込んだはずの涙があふれてきた。それを碧音君が仕方ないなって拭ってくれる。
「これから何度でも言う。好きだ明日歌」
鼻先が触れ合う距離で、笑いあう。
「私も好き、大好きだよ。碧音君」
愛おしい人と、気持ちが通じ合えた喜び。なんて幸せなんだろう。
私達は自分の気持ちに気づくまで、相手の気持ちに気づくまで随分と遠回りをしてしまった。
すれ違って、自分の感情を隠そうとして。見ないふりをして。悩んで泣いて。色んな人に助けられた。だからこそ。
この幸せを、2人で噛みしめて。
明日を二人で、つくっていこう。
まだまだ青い春は続いてくから。