学校終わりに見晴らしのいい丘にあるちょっとした公園で、香澄と待ち合わせ。肌を撫でるさらりとした風が気持ちよくて、目を細めた。


「碧音、お待たせ」


「ううん。俺もさっき来た」


誰もいないからと寝転んで占領していたベンチから起き上がり、2人で座る。


「いい場所ね」


「でしょ。気に入ってくれると思った」


日差しが強くても木陰のここは涼しくて、心地がいい。


「……碧音、アメリカ行きの件、決めた?」


俺と香澄がここに集まったのは、この話をするため。


「うん、決めた」


ちゃんと香澄の目を見て告げる。俺の決意が揺らがないと察してくれたのか、香澄はそっと目を伏せて微笑んだ。


「そう。分かったわ」


「もう明日か」


「早いわねー」


「香澄がこっちに来てから、まだそんなに経ってない気がする」


「私もよ」



同じ景色を瞳に映して、けれど見え方は違う。


決意は、この胸のなかにある。