「でも俺は、お前を振り向かせて見せる。俺のこと、意識させてやる」


皐月の瞳は、いつだって前しか向いていなくて。


「あいつへの想いが残っててもいい。けど俺の気持ちは無視すんな」


「っ!」


「俺は、気長な方じゃねぇけど。お前が俺のことを選ぶまで、絶対諦めねぇし、待ってるから」



「皐月……」


「返事、待ってる」


背中に回していた腕を解いて、スタジオの方へ歩いていった。


「う……、そ」


へなへなとその場に座り込んでしまう。皐月が、私を恋愛対象として好きとか。胸の中が、ぐるぐるする。頬が熱くて仕方ない。


「ど、どうすればいいんだ」


頭で状況を理解できても、気持ちが追いつかなくて暫くその場から動けなかった。