キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



「皐月より食べるって、相変わらずすごいな香澄」


「俺も食おうと思ったらまだ食えるわ!でもこの後のことを考えたら選択肢はねぇだろ」


「何故張り合う」


「皐月、負けず嫌いだもんね」


「まあな」


ドヤ顔の皐月に、碧音君と目を合わせて苦笑い。


「碧音、お前デザート食わねぇなら俺にくれ」


トレーの上には、まだ手がつけられていないミニサイズのチーズケーキが。


「香澄がこれ好きだから、あげようと思って」


「それはしゃあない。俺じゃなく香澄さんに貢いでください」


「貢って。言い方」


きっと碧音君は『このチーズケーキ、香澄が好きだからあげる』とは言わずに『お腹いっぱいだからあげる』と、素直じゃない言い方をするんだろう。


それを香澄さんは知ってるうえで、受け取るんだ。お互いがお互いのことを、分かりあってる。


「お待たせ―!」


「うわ」


「うわって何よ碧音」


「またハンバーグ持って来られたら、こうなるだろ」