「ありがと、明日歌ちゃん」
「すっげえうまそうじゃねえか!」
湯気が上がる出来たてカルボナーラを覗き込み、皐月が目をキラキラさせる。
椅子が3人分しかなかったので、碧音君か押し入れから持ってきてくれた予備の椅子に私も座った。
奥から右の列は星渚さん、碧音君で、左の列は藍さん、皐月、私の順で席に着く。
「カルボナーラって、家で作れんだな!」
「お店のレベルまでは全く出来ませんけどね」
「これで十分でしょ。明日歌ちゃん、頂きまーす」
「どうぞ」
皐月はフォークで巻き取ったパスタを大口を開けて食べ、星渚さんはマイペースにゆっくり食べ始める。
星渚さんが食べてると、何故かここがお洒落なカフェに思えてくる。味、大丈夫かな?
「明日歌ちゃん美味しいよ」
「味つけも完璧だよね、すごい」
藍さん、星渚さんが満足気に微笑んでくれてほっとした。そして私は任務に取りかかる。
「碧音君、あーんして」
自分の分のパスタをフォークに巻き付け、碧音君の口元に寄せた。
「学習能力のない女」
「一口でいいから、あーんってさせてよ」
「嫌」
「いいじゃん」
「自分で食うから結構」


