私には上手く隙をつくるなんてテクニックはないから、いいなって思う。そりゃ、10代半ばの女子と20歳の女じゃ違うに決まってるけどさ。
「明日歌大丈夫?ぼーっとして。乗り物酔いしちゃったのかしら?」
「いえ、大丈夫ですよ」
「無理しなくていいのよ。長めに休憩とりましょう」
「急ぐ必要ないし。フリーフォールで大分ダメージくらった?」
「あれに気力を根こそぎ持っていかれたのは本当だけど、気を遣わないで」
ぶっちゃけ、私がくらっているダメージは碧音君と香澄さんの親密な関係を見せつけられてるからで。
「ダメよ、休めるときに休んでおかないと。後半戦があるんだから」
「あはは、そうですね」
「ってことで、私おかわりしてきてもいいかしら。皐月は何か頼む?一緒に買ってくるわよ」
「香澄さん、俺が行きますよ」
「いいのいいの」
「あざっす!じゃあコーヒーで」
「おっけー!」
ひらひらと手を振り、上機嫌でレジに向かっていった。これだけの量のハンバーグを食べたというのに、まだお腹に入るのか。


