「でも、藍と星渚さんも誘えばよかったんじゃ」


「藍は彼女との予定があるって言ってたし、星渚はこういう場所、あんまり好きじゃないでしょ」


「なるほど……」


そういえば藍、春さんと小旅行に行くんだよね的なことをぽろっと言ってた気がする。星渚さんは、きっと菜流となら遊園地に来るだろうけど本来子供っぽい場所はつまらないと思っているから。


「でも、だからって本当の理由を隠して私を連れてこなくても」


「だあって」


香澄さんはその綺麗な顔を私に近づけてきた。


「普通に誘ったら、来ないと思ったの」


含みのある笑みを顔に張りつけて、すっと耳元から離れた。どくどくどく、心臓の鼓動が早まる。香澄さんは気づいているのだ、私が碧音君のこと好きだって。


それを知ったうえでの、今日の行動。自分と碧音君の仲の良さを私に見せつけるため、なのかな。


「2人共、遊園地入らないの?」


「今行くわ。明日歌も、ほら」


「……はい」


もし今、やっぱり私帰りますって言ったら雰囲気悪くなるし、皆に変に気を遣わせるかもしれないから笑って園内に入る。