うーんと悩んでいると、ふいに横から白い腕が伸びてきてガッ!!顔面を掴まれた。


「ん!?ん!?碧音君、どうした」


「お前は」


「喋る前に手を退かしてくれないかな!視界ゼロだよ!」


「ああ、うん」


ぱっと私の顔面から手を退けてくれた。


「いきなり顔面掴まれたから何事かと……!」


「そうでもしなきゃ、下向いたまんまだと思って」


「もっといい方法はあったんだろうけどね。顔面掴まなくても顔上げたけどね」


とは言えこんな状況でも碧音君の手が顔に触れたという事実に興奮してしまっている自分を誰でもいいから殴ってください。


「明日歌」


「…………何でしょうか」


「ちゃんとこっち向いて」


碧音君がやんわりと私の腕を掴み、体を自分に向けさせる。目の前の美少年とこうしてちゃんと向かい合ったのは、久し振りだ。


そして、この距離感も。


やはりいつ見ても、碧音君の瞳は綺麗だ。