キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】




その扇風機はプロペラが回転し、小さい頃に声を震わせ遊んでいたものじゃない。


細長くてプロペラが無いのだ。ハイテク!私の家は、勿論昔ながらの扇風機。


「2人とも邪魔。俺に風が当たらないじゃーん」


「星渚がこう言ってんだぞ?碧音退け」


「そういうことばっか言ってるから、背低いんだよ皐月」


「関係無いとこで傷を抉るな!」


わーわー言い合う3人は、端から見ればじゃれ合っているようにしか見えない。そして藍さんのスルースキルが素晴らしい。


別段気にする様子もなく、雑誌を読んでいる。慣れていらっしゃるんですね。


「パスタは……ここか」


お湯が沸騰してきたタイミングを計らい、パスタを6人分投入。


男子だから、多い方がいいと思って。


本当は5人分だけど、余裕を持たせ6人分。それでも足りなかったら、自分の分を分けよう。


「じゃんけんだ、じゃんけん!勝った奴が扇風機の真ん前に居られる」


「皐月さあ、じゃんけん弱いのに。自滅?」


「自ら負けを買って出てくれんのな」


「次は負けねぇ!」


皐月の提案で、決着は公平にじゃんけんで決定するらしい。