一口ガトーショコラにピックスを刺してくるくる回してみせる。


「……分かった。ん」


「…………?!あ、ああ碧音君!?」


私に顔を向けてあーん、と小さく口を開いた。つ、つつつまりそれは食べさせろということでしょうか!?あーんしていいの?!念願のあーんしていいの!?


「碧音君てば大胆!」


「今手が離せないだけ」


碧音君は楽譜をファイリングしていて、確かに一々手を止めるのは面倒くさそう。


「じ。じゃあいきますね」


手が震えつつもそろそろと碧音君の口にガトーショコラを入れようとして――パクリ。私があーんするのが遅かったせいか、碧音君の方から食べてくれた。


お口がもぐもぐ動いていて可愛すぎるでしょう!!何なんだろう、餌付けしてるみたい。


「あ、これうまい」


「もう1個食べる?」


「食う」


そう言って碧音君はまた口を開けてくれたので今度は素早く口に運んであげる。